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2010年02月27日

NO MAN'S LAND 鑑賞日記――2.複製と鑑賞

東京特派員のオオタです。みなさんお元気ですか。
東京では、梅の花が咲いてようやくめいてきたのもつかの間、
また冬の寒さに逆戻りです。


さて前回に引き続き、旧フランス大使館で
2009年11月21日(土)から2月18日(木)まで開催されたアートイベント、

NO MAN'S LAND(ノーマンズランド)

の報告第2弾

前回は展示スペースと作品の関係性についてのお話でしたが、
今回は作品と鑑賞者の関係性について書いてみたいと思います。


・・・


美術館に行ってきたのに見てきたのは人の頭、というのはよくある話。
今回もご多分に漏れず、黒山の人だかり
ぎゅうぎゅうと押されながら、人の流れにのっかる。

会期も長いし話題性もあるから、これだけ来るのは当然だよね、

なんて思うけど、
なんだかいつもの美術館で見る展示と違う感じがする。
その理由を掴めないまま見ているうちに、

カシャッ

というシャッターの音でやっと気づく。


そうそう、この展覧会は写真撮影が可能なのだ。
デジカメ、ケータイ、一眼レフ・・・。
みな首から、手からカメラをぶら下げ、
いたる所でシャッター音が鳴り、フラッシュが光る。


それが違和感の原因だったみたい。


・・・


日本の美術館はとても静かだと思う。



鑑賞者はみな作品を目に焼き付けるかのように、
目を皿のようにして、作品を凝視する。
でも、このイベントでは、そのかわりに
作品に熱心にカメラを向ける
観光地での記念撮影みたいに、作品とツーショットを撮っている人もいる。

日本人はどこでも写真を撮りたがるとか、
デジカメやケータイが普及し写真やカメラが身近になったからとか、

それだけが理由だろうか?


写真や録音といった複製技術は、オリジナルを尊重する芸術作品においては、敵としてみなされがちだ。


いわく

簡単に複製できるようになると、著作権が侵害されやすくなる


とか


鑑賞者が複製によって何度もどこでも鑑賞可能になるため、真面目に鑑賞しなくなる


とか。


だから、なんとなく作品にカメラを向けることに対して、抵抗感をもってしまう。

でも、このイベントで、鑑賞者たちはみな屈託なくカメラを向ける。
その理由をひとつ考えられるとしたら、
展示作品が現代美術だから、というもの。

美術館に収蔵されている作品は、古典や名画と言われる、
すでに価値の定まったものだ。
しかし、このイベントで展示されている作品は、
今も生きている作家たちによって作られ、
価値が定まっていないゆえに、古典たりえていないものばかりだ。
だから、美術館に収蔵された作品よりも自由に評価できる
それゆえに、作品に対してフレンドリーな態度をとりやすい



でもそれだけだろうか。



例えば奈良美智さんの作品が撮影可能だとしたら、
それにカメラを向けるだろうか?

わたしならしないと思う。

露出もピントもめちゃくちゃで、
オリジナルとはかけはなれた写真を自分で撮るよりも、
専門の写真家が撮った限りなくオリジナルに近い写真の方がいい。



だったらなぜ鑑賞者たちは写真を撮るのだろうか?



鑑賞者たちは
カメラを向けることで作品を鑑賞している
とは言えないだろうか。
私たちがある作品にはカメラを向け、ある作品にはカメラを向けないのは、
禁止されているからという理由ではなく、
いつでも見ることができると安心しているからかもしれない

美術館にある作品について、そのオリジナルに触れられるのは、
美術館で見る限りにおいてだ。
しかし、それはずっとそこにあり、いつでもそこに行けば見られる
また、写真撮影は不可能でも、
図録や印刷物でいつでも見ることができる
だから、あえて禁を犯してまで写真に撮ろうとはしない。

一方このイベントで展示されていた作品は、
この場所で、この会期のために作られたものであり、
大使館を壊すと一緒になくなってしまう
いくら写真撮影が可能だとはいえ、
今、ここでしか見られないという意味においては、
オリジナルの作品に触れられる機会はこちらの方が限りなく少ない

かのドイツの哲学者のベンヤミン先生は、
芸術とはそもそも一回限りの体験であり、
それゆえに芸術のもつ権威性
(これをベンヤミン先生はアウラと呼びました)
をもちえた。
しかし複製技術によって芸術作品が大量に出回るようになると、
その権威性が滅びゆく
とおっしゃっていましたっけ。


でも、今回のイベントでは、
写真を撮ることは、その逆の役割を果たしているように見える。
鑑賞者たちはこの一回限りの作品を、見る代わりに


複製を熱心に作成することで、鑑賞しているように思える


複製がたくさんある作品とちがって、今ここで写真を撮らなければ、
二度とこの作品に出会えない。
それゆえに彼らは熱心に作品を鑑賞する。

そう、カメラという眼を通して



オオタ
http://d.hatena.ne.jp/kokeshinikki/
posted by 実行委員会 オオタ at 22:23| Comment(2) | 【連載】 東京だより | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月24日

実行委員会会議が開かれました

2月21日(日)、Gallery OUT of PLACEにて、
2010年に入って初めての実行委員会会議が開かれました。
参加者は13名でした。

議題は、主にこの3つでした。

・実行委員会の役割担当をおおまかに決定

・広報スケジュールと予算確定

・現状報告(2009年のプレイベント報告、助成金等の申請状況)


・・・・

2010年ももうすぐ3月。
本番イベントまで1年を切りました。
これから本番が向けて、実行委員会が本格的に始動することになります。
今回は改めて実行委員会のメンバー紹介を行いました。
また、これまではメンバー個々人の力に頼るところが大きかった
会計、広報、イベントといった役割を、
負担を分散し責任を明確にするためにも改めて割り振ることにしました。

パンフレットやポスター等イベントに関する印刷物については、
おおまかなスケジュールと予算を確定していきました。
いつまでに、どれくらい、いくらで作成し、どこに配布するか・・・、
具体的に考えることが増えるにつれて、
最初は手探りでどんなイベントになるのかわかりませんでしたが、
少しずつが見えてきたように思えます。

・・・・

会議終了後は広報とチラシ配りを兼ねて
奈良町〜奈良北町周辺のギャラリーに挨拶回りをしました。

まずは染色工房のrooftopさん
三条通の南側、椿井小学校の先の四つ角にある、
ふとん屋さんの3階にあるお店です。
染め物の体験教室もされているそうなので、
見学がてらオリジナル作品作りなんていうのもいいかもしれません。

次は現代アートギャラリーのギャラリー勇斎さん。
餅飯殿町の西にある西寺林町の、奈良漆器の商家の跡地にできたお店です。
ギャラリーには大きな展示室がひとつと、
その展示室の片側を囲む通路の壁面とふたつあります。
奥にはお茶室もあるそうです。
立体、平面、洋画、日本画問わずさまざまな使い方ができそうな場所です。

そこから少し北に行った南市町には、イラスト雑貨店のIvoryさん。
絵本作家でありイラストレーターでもある武内祐人さんのグッズ店です。
町屋を生かしたお店で、ギャラリースペースには
かまどやお風呂の跡がそのまま残されています。


さて、奈良町を後にして次に向かうのは北町の大門市場です。
北町というのは、正式名称ではありません。
ここ数年、近鉄奈良駅より北側周辺の活性化を目指して、
この地域周辺を総称してこう呼ぶそうです。
大門市場は公設市場として1960年代から親しまれていましたが、
後継者不足やお客さんの減少により、
2009年末に閉じることになってしまいました。
跡地は潰してしまうそうですが、
その前にイベントで使えないか可能性を探っています。

そこから東大寺の方に向かうと、戒壇院の裏手にあるのが、
工場跡という名のカフェ
名前の通り昭和50年代まで使用されていた、
乳酸菌飲料の工場を改装したお店です。
試験管やガラス器具、木製の台車などに工場の名残が見られます。
東大寺と若草山を背後に、木造の工場がぽつんとある様は、
それだけでインスピレーションをかき立てられそうです。

・・・

奈良町を歩いたのは久々でしたが、
ここ数年すごいいきおいでお店が増えてきていると感じます。
個々ばらばらにあるギャラリーが、
N.A.P.というイベントでひとつに集まったとき、どんな姿が現れるのでしょうか。

点から面へ、2010年いよいよ動き出そうとしています。

・・・

お店情報

rooftop
http://rooftop-nara.net/

ギャラリー勇斎
http://www.g-yusai.jp/

Ivory
http://www33.ocn.ne.jp/~ivory/nara.html

工場跡
http://kojoato.jp/wp/


オオタ
http://d.hatena.ne.jp/kokeshinikki/
posted by 実行委員会 オオタ at 19:41| Comment(0) | 奈良アートプロムについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月08日

NO MAN'S LAND 鑑賞日記――1.痕跡と記憶

東京特派員のオオタです。
みなさんお元気ですか。
寒波に襲われた東京から、震えながらお伝えします。
先週、東京はひさびさに雪が降りました。
電車が止まったり、交通が麻痺することはありませんでしたが、
春のような陽気が続いていたので油断して、零下の寒さにびっくりしました。


・・・

さて今回は、旧フランス大使館で開催中のアートイベント、

NO MAN'S LAND(ノーマンズランド)

の報告です。



NML_200-94f14.jpg


わたしが訪ねたのは、1月の終わりの方の土曜日。
夜だったこともあり、さすがに入場待ちの列はなし。
この手のイベントにしては珍しく、週末だけ午後10時まで開館。
仕事帰りや映画館帰りにちょっとよりみち、
という感じで気軽に立ち寄れるのは、敷居が低くて入りやすい。

訪れる人に写真撮影のランドマークたるべくそびえ立つ、
パリの凱旋門を模したようなインスタレーションを横目に見ながら、
ふだんは特定の人しかくぐれない門を何のチェックもなく通り抜ける。
その簡単さもまるでアートのようで、呆気にとられる。

mon.jpg


目の前の庭にあるのは、大胆にペイントされたフランス車
(きっとフランス車だからという理由で断定すれば、プジョー)と、
紐でぐるぐる巻きにされてインスタレーションと化した
日本のシンボルたる桜の木(これも勝手に断定)に度肝を抜かれる。
右手の広場には、積み上げられたロッカー、机、書棚等備品の数々。
これも作品のようで、白くペイントされている。
備品の一部には値札がついており、どうやら作品を購入することもできるようだ。
左手にはふたつの建物。その壁にも大胆なペイント。




わざと似てなく描いたようなスーパーマリオが壁に描いてあった。
知らないはずの、バリケードを張って立て看板にまみれた、学園闘争中の大学の雰囲気に似てなくもないなんて思う。
建物に入ると、そこは現代アートの洪水。
映像、写真、インスタレーション、作品制作中のアーティストもいて、
まるでこれも作品の一部のよう。

・・・

集まったギャラリーも、アーティストの分野も国籍もばらばらで、
そこに何か共通したテーマがあるわけではないのだろうけど、

数が集まると人の思考はどこか似てくると思う

のは、穿った見方だろうか。


例えば感じるのは、

痕跡や記憶

とは何かということ。

大使館にはさまざまな部屋がある。
大使の執務室、書庫、クローゼット、浴室、キッチン・・・。

部屋をどう使うかは、アーティストやギャラリーの方針にゆだねられている部分が
大きいだろう。
そこでは、ギャラリーのホワイトキューブや美術館の展示室で展示するのとは違った制約を受けることになる。
しかし、どうしても大使館という場所がもつ
政治性や歴史性
あるいは書庫や地下室といった
部屋のもつ特徴が勝つ。
そのとき、その作品はその
部屋と一体のものと言えるのか、
それとも
まったく自律したものと言えるのか。

部屋の痕跡を生かすにろ、消すにしろ、はたまた無視するにしろ、
いずれにしても
作品は、その部屋の痕跡や記憶と無縁ではいられない
そうすると、その部屋の痕跡自体が作品に影響を与えることになる。

・・・

例えば、

1.その部屋がかつてどんな場所だったのかや、

そこにかつてどんな人がいたのかを想起できるように、

可能な限りその痕跡を生かす。



あるいは、

2.かつてのありようが想像もできないくらいに、

その部屋の痕跡を破壊する。



あるいは、

3.部屋の痕跡を無視し、部屋をただ展示する空間としてしか

機能させない。


第一の方向性なら、その部屋に残された家具や衣類や書籍を利用したり、
粘土や木といった違う素材のもので模倣する作品。

第二の方向性なら、その部屋の痕跡がわからないほどに部屋を装飾したり、
破壊して改造してしまう作品。
しかし、これはその部屋で展示する意味を問われてしまう。

第三の方向性なら、壁に写真をかける、床にインスタレーションを置くといったもの。
しかし、これはよほど作品に力がない限り、部屋に負けてしまう。

そのせいか、どうしても第一の方向性をもった作品や、
国家や歴史とは何か、フランスや日本のイメージとは何か、記憶とは何か、
といったようなテーマ性の作品が多いように感じた。

それゆえにたくさん見た割には、同じような印象を与える作品が多かったような
感想を抱いてしまった。

もちろんそれぞれの作品に個性はあるのだけれど、
あまりにもたくさん見すぎたゆえに、些細な差異は瑣末なことに思われた。

・・・

以前中村氏の記事http://nara-art-prom.seesaa.net/article/125871431.html
で「風土は芸術や表現よりも強い」とあったけど、その言葉を借りるなら、

「痕跡や記憶もまた芸術よりも強い」

ということだろうか。

確かに、建物や場所に否応なく染み付いた痕跡や記憶は
塗り替えることも消し去ることもできない。
しかし、あまりにも同じような表現は、見るものを萎えさせてしまう。
うまくその場所の痕跡や記憶を生かしながら、
それを新しいものへと変えるような作品が現れやしまいか。

痕跡や記憶と芸術が化学変化を起こす

ような、そんな作品が。


・・・

NO MAN'S LAND(ノーマンズランド

港区の南麻布にあるフランス大使館が新庁舎に移転するのにともない、旧庁舎を取り壊すことになりました。
キャッチコピーにもある「破壊の前に創造を」のとおり、日本やフランスを中心に活動するアーティストたちが、旧庁舎のありとあらゆる部屋、階段、書庫、庭のすべてを使って、現代アートの空間を作り出しました。
一部屋ごとに違うギャラリーがプロデュース、総勢70人以上のアーティストが、アート、デザイン、ファッション等さまざまな分野から参加しているそうです。
会期は2009年11月21日(土)から2010年1月31日(日)まででしたが、好評につき、2月18日(木)まで延長されました。

http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article3719

オオタ
http://d.hatena.ne.jp/kokeshinikki/
posted by 実行委員会 オオタ at 17:16| Comment(0) | 【連載】 東京だより | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月02日

NAP2010 出展作家募集開始!!

みなさま、おまたせいたしました。

NAP2010の二つの現代美術展、

NAP2010グループ展

NARAコテンパンダン展

出展作家募集が正式に始まりました!!

くわしくは、公式サイトこちらのページをご覧ください。

現代美術作家のみなさん、是非ご応募ください!!

posted by 実行委員会 中村ケイタロウ at 00:54| Comment(0) | 奈良アートプロムについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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